るるどの覚書

全く私的な独り言から、素朴な疑問や社会的な関心ごとまで、北欧での生活の中で感じたり、思ったり、考えたことの覚書ブログ。気軽にコメントして下さると嬉しいです。

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2007/05/02

『われらはみな、アイヒマンの息子』

『われらはみな、アイヒマンの息子』(著:ギュンター・アンダース 訳:岩淵達治 解説:高橋哲哉 晶文社 2007)

この書は、アンダースが、ユダヤ人虐殺で裁かれたナチス官僚アイヒマンの息子、クラウスに宛てた二通の公開書簡からなりたっています。

全世界が画一化された機械に化していることを案じている著者の危機感がひしひしと伝わってくる本です。

「ナチスドイツのユダヤ人大虐殺の責任者と目されたアドルフ・アイヒマン。本書は、その息子クラウスにあてた哲学者の公開書簡である。 今日、世界中が最大の成果と効率をめざし、人々は経済活動に駆り立てられている世界がひとつの『機械』になるとき、人間は機械の『部品』となり、良心の欠如は宿命だろう。 かつてアイヒマンは、『自分は職務を忠実に果たしただけだ』と言った。はたしてわれわれにアイヒマン的世界から脱け出すチャンスはあるのだろうか? だれもが『アイヒマン』になりうる不透明な時代に輝きを放つ、生涯をかけた思索」(カバーより)

「ユダヤ人の絶滅収容所への移送も事務仕事だった。知覚想像力衰弱し、良心の欠落する現代の『アイヒマン』たち。新たな全体主義の到来とそのメカニズムを予告する二つの公開書簡。」(帯より)

組織は決して巨大化させてはいけないものだと痛感させられます。身の丈サイズの組織、目の行き届く、手の届くサイズの組織を維持することの重要性が具体的な例を通して伝わってきました。イタリアの社会的協同組合の中には、組織会員数の上限が規定されているものもあると聞いています。ひとつの組織を大きくするのではなく、一定のサイズに達したとき、アメーバ的に独立し小さい規模の活動が増えることを期待するそうです。組織や企業のサイズを抑えるという利点について改めて考えさせられます。

私たちの行動が巨大化されればされるほど、私たちの感覚が麻痺し、冷酷になっていくと著者は述べています。

「十人が殺害された話ならばたぶん、まだどうにかして感じ取れても、六百万の死者は私たちにはただの数字でしかないのです。・・・」(p.45)

生産過程が複雑化し、事務作業が間接化し、巨大化すればするほど、私たちはその過程や結果から、阻害されていきます。自分の行為の結果を自分の招いた結果だということを想像する力を失っていきます。

そして、巨大な作業の一部の担い手としてまじめに働き続け、その全体としてのメカニズムや最終的な結果についての関心を少しずつ失っていきます。自分の担っている細分化された仕事や専門化された仕事の持つ意味、自分の仕事が全体的に何をもたらすのかを想像する力、それを感じ取る知覚までも鈍くなっていき、見えなくなるものがますます増えていきます。

著者は、「…今日、多すぎるほどの(政治的、管理的、ビジネス的、技術的な)機構や機械が存在する…」と述べています。もうすでに、「全世界が機械になってしまうという状態がすでに設定されている…」(p.75)とも記しています。

「・・・際限のなさが要求する『ともに機械になること』にしたがわないような世界のいかなる部分も、無価値で無用なものとして片づけられてしまいます。あるいは奉仕能力がなかったり、労働意欲をもたずにただぶらぶらしていたがる者、それによって機械帝国の拡大を妨害すると脅す者は排除され、屑として抹殺されてしまいます。・・・」(p.77-78)

機械化していく世界を身近で感じるとき、人間を含めて自然発生的に生まれたものを破壊していく私たちの傲慢さ、おろかさ、『わかっているけれど、やめられない』人間の怠慢が及ぼす結果の大きさに鳥肌が立ってしまう・・・。

<機械化された社会で部品になって生きるのではなく、人が人でいられる社会に生きたい>

機械に寄り添うのではなく、
人に寄り添う

お金に寄り添うのではなく、
自然に寄り添う

下を見れば大地があり、上を見れば大きな青い空がある
前を向けば子供たちがいて、後ろを向けばおじいちゃんおばあちゃんがいる
右を向けば女性たちがいて、左を向けば男性たちがいる

人を必要としてくれる人たちがいる限り、人は人として生きている
土を必要としてくれる植物がある限り、土は土として生きている
互いを必要として成り立っている自然の循環がある限り、私たちは生きていける
***********************
The book above reminded me of the folloing book by Jennifer Ring, Ph.d.“The Political Consequences of Thinking: Gender and Judaism in the Work of Hannah Arendt" by Jennifer Ring (State University of New York, 1997)

Dr. Jennfer Ring was one of my favorite professors. When she published the book, I ran into a book store and bought it immediately. I took it to her office and asked for her autograph. She wrote in the book, "For -----, With appreciation of your intellectual companionship. I look forward to discussing the ideas in this book with you. Warmest regards, Jennifer Ring." I cannot tell you how greatful I was to read it.

I had not had a chance to read the book throughly. The book offers a new interpretation of Hannah Arendt's work, from "Eichmann in Jerusalem" to "The Life of the Mind." The book is sitting on my knees now. I will start reading it when I am done with this writing.
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僕は君のために憲法を守る

「僕は君のために死にに行く」なる映画が今日の新聞で宣伝されていた。 製作指揮・脚本が「石原慎太郎」となっている。 「弱い犬ほど良く吼える」というがその典型が石原知事であろう。 自分個人で勝手に何処へでも行ってほしいとおもう。 是非イラクへ行って名誉?の死を

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