<彼は慢性疾患と障害を持ち、家族とはほとんど縁がなく(色々な事情で、お父さんのお葬式にも参加できなかった)、生活保護を受けて生活しています。これから8月の中旬までの一ヶ月間、一日500円で生活しないとお金が足りなくなるそうです。ニコチン中毒もあるので1箱300円の煙草からも手が離せません。以前、何度もやめようと頑張りますが、いつも無理がたたり、ひどいリバウンドがあります(他の病気も再発してしまう)。医療者は「ほどほどならいいよ吸っても」と言うそうですが、中毒者にとってはその「ほどほど」が苦しいのです。病気を持つ障害者の彼に、医師は禁煙のための「治療」はすすめないようです。>
先日、その彼から冷蔵庫が壊れ、風呂釜も壊れてしまったと電話がありました。
電気屋さんに行って一番安くて小さい冷蔵庫を見たけれど、生活保護を受けているとローンが組めないと言われたそうです。ローン(無利息)を組んで月に3000円くらいづつ返済するのは現実的だと思うけれど。でもだめだったようです。それから市のケースワーカーさんに連絡すると「そうですか」と言うだけだったとのこと。きっと「お金がなくて数日食べていません・・・」と言っても、「そうですか、御連絡ありがとうございます」で終わりなのだろうなと想像してしまった。
あまり使っていない小さめの冷蔵庫が家にあったので、それをきれいにして持っていくことにした。「この暑い日が続いている時期に、冷蔵庫がなかったら生活が大変だ」と母は思ったそうだ。早速、入っていたものを出して、きれいにした。
家族が車に冷蔵庫を入れて持って行き、壊れた古い冷蔵庫をうちに持ってきた。(その知人は「冷蔵庫のリサイクルに5000円かかるから、そのまま部屋においておいていいです」と言っていたそうだけれど・・・。そうです、その5000円を払う余裕もないのです。)
父は初めてその人のアパートに行きました。戦前に東京で生まれ、戦争中に育った父でさえも、その人の生活の場であるアパートのひどさには驚いていた。「あれは、戦前戦後によく見かけたアパートだよ・・・。」ガラクタでもゴミとして捨てられなく、ゴミ捨て場のような所が好きな父も愕然とするようなアパート。安心して生活できる場からは程遠いものなのです。
家で待っていた私は、父が持ってきた冷蔵庫を見てショックを受けました。腰くらいの高さの小さめの白い冷凍庫のない冷蔵庫。もともとは白だったのでしょうが、さびと汚れで、茶色でした。リサイクルショップにある古い冷蔵庫などを見たことはありましたが、あれほどの冷蔵庫を今の時代に使っていたことを知り、ショックでした。
病気と障害を持ちながら、生活保護を唯一の命綱にして生活している彼に医療費負担なんて残酷すぎます。生活保護費が下げられ、医療費が自己負担になったら、生きていくことは不可能です。このことを考えると気が重くなります。人事ではありません。
彼は40代です。体調があまり悪くない時に、仕事を探しに行きます。でも、だれも、どこのお店や会社も仕事を提供してくれません。また、ボランティアでもいいからと言って高齢者の施設に面接に行きましたが、断られてしまいました。
私は、そんな彼の姿にいつも励まされます。自分が落ち込んでいるときには、よき話し相手になってくれる人です。
うちの家族も生活が楽なわけではありません。私の家族も大変だからこそ、重荷を抱えているからこそ、彼のことが人事に思えないのです。「お互い様」ですから、できる範囲内のことは互いにできるのですが・・・。冷蔵庫はタイミングよくありましたが、いつもそんな風に必要に応じて何かできるわけではありません。
彼のような状況に置かれている人たちが、地域で生きていけないような社会づくりがどんどん進められています。
これは彼、個人の問題ではありません。これは社会問題です。これは政治問題です。施策づくりに直接携わる人々には、生活者の顔や姿を思い浮かべて行ってほしいと切に願います。
日本にいる人々は、この日本に人間として「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を持ち、生きる権利があるのです。
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参考:(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)
日本では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定する日本国憲法第25条第1項が生存権の根拠となっている。
日本国憲法第25条(生存権、国の社会的使命)
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
生活保護法(せいかつほごほう;昭和25年5月4日法律第144号)は、生活保護について規定した日本の法律である。
生活保護法の目的は、「日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」(第1条)とされている。


