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るるどの覚書

全く私的な独り言から、素朴な疑問など、感じ、考えたことの覚書ブログ

2007/04/12

働きたいと願っている人との会話から

先日、統合失調症の診断をもらってから30年以上もの間、病と自分と家族と社会と・・・格闘している人と一緒に時間を過ごしました。

とある国立大学在学中に発病しました。バイト、サークルなどの活動に忙しくしていたときに発病したようです。国語の教員になりたいと思っていたそうです。

発病してからは、ずーっと入院生活でした。家族とも疎遠になり、退院するきっかけも持てずに、宇都宮病院に入院していました。『宇都宮病院事件』が契機となり、他の病院の持つ援護寮に移りました。何年も後、地域のソーシャルワーカーや家族会の人たちの協力もあり、地域に生活の場を得ることができたそうです。

今は、生活保護が唯一の収入源です。視力が落ちていて、めがねを作らなければならないのですが、そのお金もないようです。また、クーラーも壊れていますが、そのお金は全額自己負担だそうです。貯金のない彼は、クーラーを買うお金を、夢物語の中の『宝の小槌』を叩いて出せれば別ですが、自分で調達するのは無理でしょう。(3ヵ月後には夏がやって来る)

彼と会うと、いつも仕事のお話になります。「仕事したいよ」といつも言っています。ハローワークに行ったり、社協のボランティアに行ったり、いろんなことをしています。でも、仕事をする場を得られたためしがありません。まず、洋服を買ったり、身だしなみを整えるお金はどこにあるのでしょう??それから、面接に行く時の交通費、書類を作るためにかかるお金はどこにありますか???何もないのです。(二ヶ月に一回の収入(生活保護費)は、食費や日用品や光熱費など、毎日の生活に必要な出費で消えてしまう。)

先日、「仕事につくには、8時間立ち通しで作業ができるくらいじゃないと無理だよな。8時間、飯も食わずに働けるようじゃなきゃ、どこも雇ってくんないよね。8時間、外にいて練習しなくちゃな」と言っていた。私もボランティアとしてお手伝いしたことがあるので、彼の言っていることが伝わってきました。

「都知事になれば、週に数回しか職場に行かなくてもいいのにね。石原都知事が都庁に行けば、誰かがお茶出したり、お茶菓子出したりして、快適な環境で椅子に座って仕事してるんでしょう。障害者だけ、なぜ長時間、快適とはいえない環境で、単純な労働作業しなくちゃいんだろうね。しかも、時給100円もらえればいいほうなんだよね・・・」という話になった(というか、私がそんなことをぶつぶつ言っていた。)

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彼は、ここ数日、生活保護費が底を尽きたようで、調子を崩していたようです。夕方暗くなった頃、私が留守をしていたときに、うちに電話があったとのこと。ちょうど一人で家にいた父が、電話を取りました。父が「ちゃんと食べてるか?」と聞くと、「食べていません…。すぐ来てください…」と死にそうな声を出していたと言っていました。話していたら、「はー、はー」という辛そうな息が聞こえるだけで・・・びっくりしたそうです。父は車で20分~30分くらいのところに住んでいる彼のところへいき、手作りのサンドイッチやジュースを差し入れたとのこと。

父が行ったら、元気になったそうです。また、夜、彼から「るるどさんのお父さんの顔を見たら元気になりました」と電話がありました。一人暮らしで、病気や障害をもち、いちばん辛く苦しいときに誰にも会えず、お金が尽き、これからの見通しが立たなかったら、程度は人それぞれだろうけれど、誰でも、精神的に不安定になり、心細くなり、不安になり、どうしようもない気持ちに追い詰められるんだろうと思いました。

父いわく、「なんだよあいつ、俺が行ったら元気になったぞ。大して調子崩していなかったんじゃないか。電話ではあんなに死にそうな声出していたから、やっていたことすべて放り出して行ったのに・・・」と腑に落ちない様子で言っていました。

そうすると母が、「一人暮らしの人が病気で大変なときは、誰かの顔を見るだけでも元気になれるものよ。お父さん幸せじゃない、『あなたの顔を見たら元気になれました』なんて言ってもらえるなんて。すごいことよ」と。

そして、父は、「こんなことやっているんじゃ、まるで家族みたいだなあ」と、自分の行動を振り返りながら、まじめな顔をして言いました。みんなで大笑い。私は、『今頃、やっとわかったんだ(笑)そんなことに、今、気がついたんだあ!(笑)それも、いいじゃない。 地球上のみんなが家族なんだから』と心の中で言いました。情の深い父が、病と共に生きている彼を思いやる様子が頼もしく感じられ、ほのぼのとした幸せに浸ることのできたひと時でした。そんな機会を与えてくれた○○さんに感謝。

夜、彼からお礼の電話のあった時、電話口で母は「いいのよ、お互い様なんだから。私が困ったとき○○さんに何かお願いすることもあるかもしれないし、そのときはよろしくね」と元気な声で言っていた。やってもらってばかりいて、負い目を感じているかもしれない彼の気持ちが少しでも楽になり、彼も対等な立場で頼りにされている存在だということを伝えたくて、言っているんだろうなということがそれとなく伝わってきました。

偶数月の15日に生活保護費が出るとのこと。今が、いちばん辛いときかも・・・。どうか、彼が16日(月)まで、いろんな人にSOSを出しながら、なんとかがんばれますように。

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これは「彼、個人の問題」ではありません。「社会の問題」なのです。
彼は、社会への問題提起者の一人になってくれているのです。
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Author:るるど
好きな言葉:"Differences are not a threat, but a treasure" by Jean Vanier (ジャン・バニエは、尊敬する人の一人です)

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